ハート防災Jです。神戸から明石海峡大橋を渡り、淡路島にやって来ました。
橋の向こうに見える神戸の街。23年前の1月17日に同じ神戸が炎に包まれていたことを、ここで記念撮影する人たちはどれだけ意識するのだろう?そんなことを考えてしまいました。もうすぐ四半世紀、長いような短いような。前を向いて歩くことは大切ですが、時には振り返ることも必要ですね。
明石海峡から車で20分。向かった先は、北淡震災記念公園。震災の時に表れた断層による地面のズレを当時のままに保存した野島断層は、国の天然記念物に指定されています。
まずは野島断層保存館へ。入っていきなり見えてくるのは、写真から飛び出した崩れ落ちる高架とトラック。凄い迫力です。コンクリートからむき出た鉄筋は、どれだけ頑丈に作っても大自然の前では100%安全なことはない、と言っているようです。それを限りなく100%に近づけるのが人間の知恵と努力ですが、驕りは禁物ですね。
入場料は大人700円。年中無休で、開館時間は9:00~17:00。
阪神・淡路と東日本、地元新聞社が二つの被災地を記録した200枚の写真が展示されていました。20年の間に2度も、同じ日本にこれだけの被害をもたらす地震が起こったことは信じ難いです。地震大国であり、108の活火山(世界の7%)を持つ日本。南海トラフ巨大地震、富士山噴火、いつ起こっても不思議ではないですよね。この先20年の間に、ここに静岡の写真が載らないことを祈ります。
立体地形で見る南海トラフ。脅威です。南海トラフの存在を知らない人が大勢いることの方がもっと怖いですが・・・。(正直に言うと、自分も名前を聞いたことがある程度でした。)
野島断層の説明。阪神・淡路大震災は活断層である野島断層が動いたことにより起こったもので、淡路島北西部に長さ10Kmに渡って地面のズレを生じさせたそうです。その内の185mを、ここ野島断層保存館で保存しています。
普段気にすることのない地面の下の断層。そして、生きているということ。地球から見ればちょっとしたズレかもしれないが、人間社会に与える影響は計り知れない。それが自然の恐ろしさだ、と語っているようです。
野島断層の地表のズレを復元した地形模型。ボタンを押すと、地表面の揺れと断層運動が再現され、かつての映画「日本沈没」を思い起こします。総理大臣役は丹波哲郎でしたね。
南海トラフもそうですが、脅威は目に見えないところに潜んでいて、計り知れないパワーを持っている。そして忘れたころに動き出す。見えないから忘れる。だから見せる、それが野島断層です。
北淡震災記念公園には野島断層保存館以外にも、大震災を語り継ぐコーナーが色々あります。神戸の壁もそのひとつ。
神戸の壁は、第二次世界大戦の神戸大空襲に耐え、阪神・淡路大震災では地震と火災に耐えた、神戸市長田区の防火壁を移設したものです。災害対応SSって何じゃ?で紹介したガソリンスタンドの防火壁を思い出しました。延焼を食い止める壁は、地域にとって頼もしい存在です。
地震断層が横切る民家を保存したメモリアルハウスには、震災当時の建物や地震直後の台所を再現した様子が展示されています。
時計は、地震が起きた朝5時46分で止まっていました。暗い中でこの状況です。怪我をすれば逃げ遅れる危険性も高まりますから、家具の転倒防止策は欠かせません。
震災を体験した小学生の感想。ちょっと色褪せています。
おばあちゃんは「千年に一回の大地震だ」と言った。お母さんは「自然が怒っている」と言いました。もうあんな地震はいやです。
いやでも来るのが自然災害。そのための防災・減災。23年後の今、この子たちも30歳を超え、親になっているかもしれません。防災・減災意識が薄れていないことを祈ります。
他にも、震災体験館や地震・津波のメカニズムを解説するコーナーなど、将来起こりうる大地震について色々と考えさせられる北淡震災記念公園。関西方面に行く機会があれば、是非立ち寄って見てください。
詳しくは公式ホームページを
外国から来たであろう女性がひとり、熱心にビデオを撮りながら回っていました。何語かもわからず話しかけられませんでした。
震災を語り継ぐ貴重な施設です。