【レポート】キックオフイベント第1弾「まちめぐり 焼津・浜通り」

”洪水・高潮・津波に向き合う地域の暮らしの工夫を知る”

ハート防災Jです。2月25日に行われたハート防災キックオフイベント「まちめぐり◆焼津~吉田編」に参加してきました。レポート第一弾は焼津の浜通り。昔から高潮などの自然災害と向き合い、生活に工夫を凝らし、時には神に祈る。この地で暮らし続けてきた人々の地域防災の歴史、取り組みを知る良い機会になりました。

焼津公民館に30人近い参加者が集まり、まずは開会の挨拶。

まちめぐり案内人は、松田民俗研究所代表の松田香代子さん。日本民俗学を専門に、「富士山信仰」や「災害と民俗」に関する調査、研究などで活躍され、先人の教えに精通した方です。

13時15分、まち歩きスタート。最初に向かった先は

荷物を運ぶ運河として利用されていた「堀川」は、浜通りに押し寄せる高潮を逃がす放水路の役割も果たしたそうです。その重要性を、まち歩き後半でより知ることになります。

海抜2.8mの表示がありました。海抜は近隣の海水面から計った陸地の高さです。このエリアでは多くの避難タワーを見かけますが、津波対策には欠かせません。大事なのは、自分が住んでいる地域のことを知ること、どこに逃げるべきかを知っていること。それが分かって行動すれば助かることを、神戸で取材した「人と防災未来センター」で学びました。

漁業関係者が厚く信仰している護心寺(北の弁天さん)。松田さんが、地域との関わりをわかりやすく説明してくれます。

各スポットには、NPO法人「浜の会」の説明表示があります。約300年前に、海上安全、災害除難を祈念し木彫りの座像・弁財天が合祀されたそうです。無事を祈る家族の思いは今も昔も変わりません。

海岸近くには多くの波除け地蔵があったそうですが、焼津をこよなく愛した小泉八雲(明治時代の小説家であり日本民俗学者。ギリシャ出身でその後日本に帰化。著書に英語で著した「怪談」は有名)にちなんだ波除け地蔵もあります。詳しくは、焼津市ホームページの八雲地蔵を。

浜通りには昔から、高潮・高波から住民を守るために、地区ごとに3体の波除け地蔵があったそうですが、堤防の改装のたびに移動して今では4体を残すのみ。現在の堤防ができて高波の心配が無くなった今も、波を避けたい住民の信仰先として受け継がれています。

安泰寺墓地の波除け地蔵。

札の辻の波除け地蔵は改装中につきミイラ状態でした。

青峰山勝景院の波除け地蔵。青峰さんと呼ばれ、海難に会った時に「青いなあ、青いなあ」と叫ぶと助かると伝えられているそうです。今の若い漁師さんが叫ぶとは思いませんが、平成の今もお地蔵さんを引き継ぎ、花を添える、どれだけ堤防が高くなって避難タワーができても、変わらないものがあります。

今回のまちめぐりで特に興味深かったのは、先人たちの暮らしの工夫。玄関前を見ると、道路から1~2段高く建てられている家が数多くあります。

堤防を越えた海水の侵入を防ぐ波除け堰。板まで残ってるところは数少ないそうですが、

「海味工房ぬかや斉藤商店」のご主人が実際に板をはめて説明してくれました。新しい堤防ができる前は、台風が来ると大雨と高波でこの辺一帯が水浸しだったそうです。

港沿いを走るオーシャンロードには海抜6mの表示。えっ、歩き始めで見た海抜表示が2.5mだったから・・・。そう、海岸沿いよりも内陸の方が低いんです。だから、高潮・高波で溢れた海水や暴風雨時の雨水は、海から町に流れ込んでくるのです。

浜通りには水を逃がすための小路が何本も通っていて、海側から陸側に傾斜し、その水は冒頭で紹介した堀川へと流れていきます。土地を知り、土地と生きる、先人の知恵と工夫が今もまだ機能し、町を浸水から守っています。

平成7年に新堤防が完成するまで、明治~平成にかけて焼津を守ってきた石造りの防潮堤を再現。当時の写真と一緒に後世へと語り継いでいます。

浜通りからバスで移動し、八雲地蔵を移設した光心寺へ。

お寺の説明の中に、小泉八雲が書いた、泣いてるお地蔵さんの絵がありました。

奥さんのセツさんに反対されて、修復されることなくそのままの形で、光心寺に移ってきた波除け地蔵。もはや、お地蔵さんのカタチとは言えません。それでもこうやって大事に残して祀られているんです。

自然災害から家族を守るため

暮らしの工夫とお地蔵を祀ることは、別の様で同じもの。二つで一つの様なもの。

今回参加した方々は、何か感じるものがあったようです。こうやって歩いて、見て、知ることで、防災アートのヒントが見つかるかもしれません。

しずおかHEART防災プロジェクト キックオフ・イベント開催!

しずおかHEART防災 キックオフ・イベント
まちめぐり&座談会「“未”被災地のための防災アートは可能か?」

しずおかを場とし、「防災」というテーマに対して、アート/文化にできることは何か・・?
しずおかHEART防災プロジェクト1年目のキックオフ・イベントとして、
テレビ出演でもおなじみ静岡大学の小山真人先生はじめ豪華案内人による、しずおかを見て知る「まちめぐり」と、話題のアーティストはじめ多彩な登壇者が防災とアートについて話しあう「座談会」がセットとなったイベントを開催します。
ご参加のみなさんも一緒に、さまざまな「可能性」を探りましょう。
参加は無料。ぜひご参加ください!
※まちめぐりは事前申込が必要です。

イベント詳細や申込方法についてはこちら

 

■第1弾 2018年2月25日(日)  ☆終了しました
まちめぐり ◆ 焼津~吉田篇
“洪水・高潮・津波に向きあう地域の暮らしの工夫を知る”
案内人:松田香代子氏(松田民俗研究所代表)
座談会 ◆ 焼津市役所アトレ庁舎3階 焼津公民館 会議室6
パネリスト:
窪田研二氏(インディペンデント・キュレーター/KENJI KUBOTA ART OFFICE代表)
藤井基貴氏 (静岡大学教育学部准教授/防災総合センター准教授)
松下徹氏 (SIDE COREディレクター/アーティスト)
松田香代子氏(松田民俗研究所代表)
コーディネーター:
平野雅彦氏 (静岡大学教育学部特任教授/人文社会科学部客員教授)

■第2弾 2018年3月3日(土) ☆終了しました
まちめぐり ◆ 函南~三島篇
“地球の営みから生じる 美と畏れを感じる”
案内人:小山真人氏(静岡大学教育学部教授/防災総合センター副センター長)
鈴木雄介氏(伊豆半島ジオパーク推進協議会専任研究員)
座談会 ◆ 会場:三島市民文化会館 第2会議室
パネリスト:
小山真人氏(静岡大学教育学部教授/防災総合センター副センター長)
鈴木雄介氏(伊豆半島ジオパーク推進協議会専任研究員)
住 康平氏(Cliff Edge Project代表/美術家)
松本圭司氏(郷土雑学)
コーディネーター:
平野雅彦氏(静岡大学教育学部特任教授/人文社会科学部客員教授)

座談会パネリストについてはこちら

 

イベント詳細や申込方法についてはこちらをごらんください!

 

 

ウワサの「そなエリア東京」に行ってきました!

こんにちは。HEART防災、Sです。
先日ついに、うわさの「そなエリア東京」に行ってきました!!

「そなエリア東京」は、国の災害応急対策の拠点として整備された「東京臨海広域防災公園」内にある、防災体験学習施設です。

1階には、津波の高さや速さが体感できるコーナーや、防災グッズのショップがあります。

2階は、学習施設。さまざまな啓発展示がめじろおし!
いざというときに生き抜くヒント、防災グッズ、防災ゲーム…etc.

このイラストやデザインはたぶん、最近「防災のデザイン」に欠かせない存在となっている、寄藤文平さんですね。
同じ展示でもデザインや構成の工夫で「見る気にさせる」。
これもHEART防災が考えるべきポイントのひとつです。

アニメ「東京マグニチュード8.0」のアレンジ版も会場内のモニターで見ることができました。機会があれば、これ上映したいなぁ。

上からはオペレーションルームが覗けましたよ。
映画「シン・ゴジラ」のシーンが回想されます!

静岡県庁にも焼津の防災拠点にも、こういう設備がありますが、やはり規模が違いますね。

そして、何と言ってもこの施設のウリである、防災体験「東京直下72h TOUR」!
(以下、ネタバレ注意!)

予約時間に受け付けをし、タブレットを借りて首からぶら下げます。
体験人数に制限があり、時間を区切っての入場となるので、当然係員さんが案内してくれるんだろうと思いきや・・・ほぼ操作の説明のみで、いきなりひとりでエレベーターに乗せられました!
映画館のあるショッピングセンターのエレベーター内で地震に遭う想定です。

ドアが閉まって、ちょっと緊張!!

無事エレベーターのドアが開き、裏ルートを通って、非常口のサインを頼りに、まずは建物から脱出を試みます。
SCのバックヤードっぽい演出もされています。

脱出した先には、被災したまちが再現されていました。
細部までよくできていてリアルです。
昔よく行ったナンジャタウンとかラーメン博物館みたいな。

まちのモニターでは、ニュースが被災状況や余震の危険性を伝え、緊急地震速報のあのチャイム音が断続的に鳴っています。

あ、向こうで火事が・・・

まちの中では、いくつかのポイントに誘導され、そこで出されるクイズに、タブレット上で答えていきます。

ポイントは複数あるのに全部をまわるわけではないので、スタッフさんに聞いてみると、どのポイントでクイズが出るかは端末によって異なるそうです。
一緒に体験する友達とも違うし、次に行ったときにまた違う、という楽しみもありますね。

無事、避難所の中央公園にたどり着きますが、そこではしばしの避難生活が。

そこには様々な課題があります。
私たち未被災地の者は、生き延びることは考えるけれど、その先のことまではなかなか考えられません。
でも、本当に想像力が試されるのはきっと、被災後の暮らしにおいてなのでしょう。

タブレットを返却するときに、クイズの点数がわかります。
ここは防災先進県に暮らすS!当然、満点でしたー!

最後にショップで「東京防災」を1冊購入。これは本当にいい取組みですよね。
がんばろう、静岡の防災!

この公園は、首都圏で大きな災害が起きたときにベースキャンプになるそうで、ヘリポート機能もあります。広場の向かいには病院がありました。
ふだんは都民の憩いの場として開放されています。この日は雪が残っていましたが、キャッチボールなどをしている人たちもいました。

そなエリア東京」。
東京なので「首都直下地震」がテーマではありますが、この国に住む誰もが、いちどは行ったほうがいいトコロだと思います。
熱心に見ていたので研修の視察か何かだと思われたようで、スタッフさんに声をかけられました。全国から問い合わせや予約がいっぱいなので、ご予約はお早めに、とのこと。
少人数で行く場合は、ふらりと行っても、先に体験時間を予約しておけば問題なく入れそうです。
おススメ!!

 

ありのままを語り継ぐ野島断層―淡路市【北淡震災記念公園】

ハート防災Jです。神戸から明石海峡大橋を渡り、淡路島にやって来ました。

橋の向こうに見える神戸の街。23年前の1月17日に同じ神戸が炎に包まれていたことを、ここで記念撮影する人たちはどれだけ意識するのだろう?そんなことを考えてしまいました。もうすぐ四半世紀、長いような短いような。前を向いて歩くことは大切ですが、時には振り返ることも必要ですね。

明石海峡から車で20分。向かった先は、北淡震災記念公園。震災の時に表れた断層による地面のズレを当時のままに保存した野島断層は、国の天然記念物に指定されています。

まずは野島断層保存館へ。入っていきなり見えてくるのは、写真から飛び出した崩れ落ちる高架とトラック。凄い迫力です。コンクリートからむき出た鉄筋は、どれだけ頑丈に作っても大自然の前では100%安全なことはない、と言っているようです。それを限りなく100%に近づけるのが人間の知恵と努力ですが、驕りは禁物ですね。

入場料は大人700円。年中無休で、開館時間は9:00~17:00。

阪神・淡路と東日本、地元新聞社が二つの被災地を記録した200枚の写真が展示されていました。20年の間に2度も、同じ日本にこれだけの被害をもたらす地震が起こったことは信じ難いです。地震大国であり、108の活火山(世界の7%)を持つ日本。南海トラフ巨大地震、富士山噴火、いつ起こっても不思議ではないですよね。この先20年の間に、ここに静岡の写真が載らないことを祈ります。

立体地形で見る南海トラフ。脅威です。南海トラフの存在を知らない人が大勢いることの方がもっと怖いですが・・・。(正直に言うと、自分も名前を聞いたことがある程度でした。)

野島断層の説明。阪神・淡路大震災は活断層である野島断層が動いたことにより起こったもので、淡路島北西部に長さ10Kmに渡って地面のズレを生じさせたそうです。その内の185mを、ここ野島断層保存館で保存しています。

普段気にすることのない地面の下の断層。そして、生きているということ。地球から見ればちょっとしたズレかもしれないが、人間社会に与える影響は計り知れない。それが自然の恐ろしさだ、と語っているようです。

野島断層の地表のズレを復元した地形模型。ボタンを押すと、地表面の揺れと断層運動が再現され、かつての映画「日本沈没」を思い起こします。総理大臣役は丹波哲郎でしたね。

南海トラフもそうですが、脅威は目に見えないところに潜んでいて、計り知れないパワーを持っている。そして忘れたころに動き出す。見えないから忘れる。だから見せる、それが野島断層です。

北淡震災記念公園には野島断層保存館以外にも、大震災を語り継ぐコーナーが色々あります。神戸の壁もそのひとつ。

神戸の壁は、第二次世界大戦の神戸大空襲に耐え、阪神・淡路大震災では地震と火災に耐えた、神戸市長田区の防火壁を移設したものです。災害対応SSって何じゃ?で紹介したガソリンスタンドの防火壁を思い出しました。延焼を食い止める壁は、地域にとって頼もしい存在です。

地震断層が横切る民家を保存したメモリアルハウスには、震災当時の建物や地震直後の台所を再現した様子が展示されています。

時計は、地震が起きた朝5時46分で止まっていました。暗い中でこの状況です。怪我をすれば逃げ遅れる危険性も高まりますから、家具の転倒防止策は欠かせません。

震災を体験した小学生の感想。ちょっと色褪せています。

おばあちゃんは「千年に一回の大地震だ」と言った。お母さんは「自然が怒っている」と言いました。もうあんな地震はいやです。

いやでも来るのが自然災害。そのための防災・減災。23年後の今、この子たちも30歳を超え、親になっているかもしれません。防災・減災意識が薄れていないことを祈ります。

他にも、震災体験館や地震・津波のメカニズムを解説するコーナーなど、将来起こりうる大地震について色々と考えさせられる北淡震災記念公園。関西方面に行く機会があれば、是非立ち寄って見てください。

詳しくは公式ホームページ

外国から来たであろう女性がひとり、熱心にビデオを撮りながら回っていました。何語かもわからず話しかけられませんでした。

震災を語り継ぐ貴重な施設です。

生きていくために。震災から学ぶべきもの ―神戸市【人と防災未来センター】―

ハート防災Jです。人と防災未来センターに来ました。イザ!美かえる大キャラバン!の会場にもなっています。取材同行のYさんは2回目ですが、私はもちろん初めて。まずは建物の景観に驚きました。立方体が時間とともに成長拡大していく塩の結晶体をイメージして造られたそうです。

ん?何やら垂れ幕?と思いきや、南海トラフの巨大地震で想定される津波の最大波高(高知県黒潮町)を示しています。その高さ34.4m。3mを超えたらビッグウェーブで波乗りも躊躇するところを、その10倍って。こんなの来たらどうしようもないでしょ!

人と防災未来センターは、国の支援を受けて2002年に兵庫県が設置、阪神・淡路大震災の経験を語り継ぎ、未来に生かすことで、災害文化の形成、地域防災力の向上、防災政策の開発支援を図り、安全・安心な市民協働・減災社会の実現に貢献することをミッションとしています。ホームページはこちら

入場料は大人1人600円。JAF会員割引で450円に。ラッキー^^。時間も遅かったので待ち時間なしで入れました。ロビーに貼ってあるポスターを見ていると・・・

手前上の「つなみがくるぞ!高台へいそごう!」にビックリ。なんと小学一年生の作品。絵のクオリティ凄いです。そしてこの単純なコピーが後になってジワリと来るのですが、それはまた後半で。

エレベーターに乗り、まずは4階の震災追体験フロアへ。1.17シアター「5:46の衝撃」では大型映像と音で、地震破壊のすさまじさを体感できます。震災直後のまち並みをリアルに再現したジオラマ模型を通り、大震災ホールへ。復興に至るまでのまちと人をドラマで紹介した「このまちと生きる」を上映しています。4Fフロアは写真撮影NGなので写真をお見せできず残念ですが、映像ダイジェストはこちらから見れます。

23年前に本当に現実に起こったことなのか?と思う衝撃映像です。具合の悪くなる人もいるそうなので、ご注意ください。自然災害の恐ろしさと同時に、「このまちと生きる」からは、復興に向かう人間の強さを感じる事ができます。

3階は震災の記憶フロア。震災関係資料を提供者の体験談と一緒に展示しています。

大型パネルで見る崩れた高架道路。どんな頑丈な人工物も自然の前では模型のごとく。

写真右下にあるのは、折れたゴルフクラブ。どうすれば、こんなにポッキリ。

「女性一人この家屋の下にいます」助けたいけどどうすることもできない、でも生きて欲しい。生きていくために、誰もが必死。未被災者で戦争体験もない私には想像することすらできません。でも現実に起こったことなんですよね。

全国から送られた支援物資の紹介やボランティアの様子も紹介しています。被災状況をいっぱい見た後なので、着ぐるみと遊ぶ子ども達の笑顔に癒されました。そして、からわりくんって何だろうって。ネットで調べたけど出てきませんでした。(笑)

姪御さんの子から送られた手紙に励まされた人も。やっぱり大事なのは人と人の繋がりなんですよね。

2階は防災・減災体験フロア。災害や防災の方法を閲覧できる災害情報ステーションの他、防災学習のボードゲームや減災グッズなど、色々な角度から紹介しています。

ビスコ、懐かしいですね~。サクマ式ドロップ、「火垂るの墓」の節子を思い出すと、今でも涙が出てきます。(泣)

家具の固定、転倒防止策。阪神淡路大震災の地震による直接死5500人の内4400人が家屋の倒壊による圧死、窒息死で、その9割にあたる3960人が地震後15分内の即死。事前の備えが生死を分けるということです。

耐震補強、耐震構造、地震に強い建物に関する展示です。住宅関連で働く人必見のコーナー。

西館から東館へ移動し多目的ルームに向かうと、南海トラフ巨大地震に関する展示がありました。静岡県民には特に興味深い内容です。

太平洋沿岸に起こる津波の想定波高を表わしたグラフ。静岡にも最大波高10m~20mの津波が来ることが予想されます。

興味深かったのは、防災・減災対策の効果。最大32万人と想定される死者数が、防災・減災対策によってどこまで減少できるかという資料。一番の恐怖は津波ですが、全員が発災後すぐに避難開始して既存の津波避難ビルを活用すれば、23万人の津波想定被害死者の8割、約18万4000人の命が助かるというもの。

ここで思い出したのが、入り口にあった小学1年生のポスター「つなみがくるぞ!高台へいそごう!」。防波堤も大事かもしれないが、自分の命は自分で守る、それしかない。そして、声を掛けあう人と人の繋がりの大切さ。当たり前のことだけど、当たり前だからこそ大事なことですよね。

生きていくために・・・。人と防災未来センターから学んだことです。

自然災害に私たちはどう備えるのか?各地域での取り組みが紹介されていました。これも、生きていくために・・・。

静岡県が開発した避難所運営ゲームHUGも。HUGの内容は静岡県のホームページにて。

ぼうさい甲子園。こんなのもあるんですね。ホームページを見たら、昨年の大会で静岡大学教育学部の藤井基貴先生(※)のゼミがぼうさい大賞を受賞していました。でも、参加しているのは他県の方が多かったです。きっと知らない人がほとんどですよね。

(※ライターS補足~:藤井先生は学生とともに全国的に活躍する防災教育の第一人者。2月25日に開催されるこのプロジェクトのキックオフ・イベントにも参加してくださる予定です!)

日常からまだまだ遠いところにある防災。人は自然に弱い、でも生きていくための知恵や絆がある。まずは、できることをやること。人と防災未来センターと小学1年生のポスターから教わりました。防災素人の私も家具の転倒防止策やってます。あとは逃げ足を磨きます。(笑)

神戸に行く機会があったら是非寄ってみてください。

人と防災未来センター

防災を「楽しくしっかり学ぶ」 -イザ!美かえる大キャラバン!2018 in 神戸ー

ハート防災Jです。神戸取材の目玉「イザ!美かえる大キャラバン!2018」にやって来ました。イザ!カエルキャラバンは、震災後10年の記念事業として2005年に神戸でスタートし、今では全国各地で行われている防災イベント。

コンセプトは、防災をもっと身近に、もっと楽しく。家族や友達と楽しみながら防災知識が身につくのが人気の秘密です。

参加は無料、誰でも自由に参加できます。会場は神戸の新都心「HAT神戸」内のJICA関西、人と防災未来センター。近くには兵庫県立美術館も。

「イザ!カエルキャラバン!」は、地域の防災訓練と、美術家藤浩志さんが考案したおもちゃ交換会「かえっこバザール」を組み合わせた防災イベント。開催当初は、お茶らけてるなど風当たりも強かったそうですが、楽しみながらしっかりと防災を学ぶことができる機会として神戸に根付き、今年で13回目の開催となります。

運営するのは、NPO法人プラス・アーツ。「防災」「教育」「まちづくり」などの分野において、既成概念にとらわれないアート的な発想や想像力で、課題解決や活性化、新たな可能性を追求することを目的としています。理事長の永田さんが、2005年の第1回イザ!カエルキャラバン!を実施したことをきっかけに発足しました。

開催当日は雪が舞う寒い日でしたが、会場は家族連れを中心に子どもからお年寄りまでいっぱい。防災というと硬いイメージが先行しますが、「えっ!これが防災イベント?」という感じで、笑顔と熱気に包まれていました。

会場内の様子をレポートします。

どれにしようかな~。ポイントと交換できるおもちゃを探します。

おもちゃ交換の流れは、①遊ばなくなったおもちゃを持ってきてカエルポイントと交換。②防災プログラムに参加したり、お手伝いしてもポイントがもらえます。③そのポイントで会場内にあるおもちゃと交換します。

持ってきたおもちゃを、かえっこバンクでポイントに。なかなか、まあまあ、そこそこ、でポイントが変わります。ちょっとした表現にも遊びゴコロが。

会場のいたるところで、クイズ形式、ゲーム形式の防災プログラムが行われています。

毛布で担架タイムトライアル 子ども達真剣です。

ジャッキアップゲーム ナマズ(地震)で下敷きになったカエルさんを、どうやって助け出そうかな。

すごろく遊びでぼうさい学び 孫と一緒に防災知識を学ぶ、おじいちゃん、おばあちゃんも数多く見かけました。

その他にも、歌や紙芝居、ゲーム等、いろんな切り口で防災を学ぶコーナーがあります。

和歌山大学災害科学教育センターのトイレが大変プログラムコーナーでは、新聞紙、ペットシート、レジ袋を使ってmyトイレを作成。楽しみながらどんどん知識が膨らみます。

イベントの運営主体はプラス・アーツですが、学生やボランティア、団体、色んな方たちが参加し、各コーナーを構成。

神戸市中央消防署の人達もイベントを盛り上げます。

水消火器で的当てゲームの的もカエルさん。イザという時にこの経験が活きてきますね。

2005年のスタート当初からある定番コーナーから新コーナーまで、JICA関西の1F~3Fで、20を超えるプログラムが実施されています。BOSAIキッチンは、今回初登場の目玉企画。順番待ちで実際に作ることはできませんでしたが、中の様子を見させていただきました。

災害時の食料備蓄の為に、「非常食」と「いつもの食」のボーダーを消してみようという試みで、お鍋とポリ袋でBOSAIレシピづくりを行います。

材料となる、栄養満点、調理が簡単な非常食の紹介。

お皿の代わりに紙の容器を作り、耐熱性ポリ袋を使った調理で、

炊き込みご飯、かぼちゃの豆乳スープ、ユニバーサルチョコの完成。ポリ袋恐るべし。

スタンプラリーも開催していて、各コーナーを回ってスタンプを集めるとガラガラ抽選に挑戦できます。魅力的な景品が揃っていました。とにかく、色んな工夫で防災を楽しく学ぶ仕掛けが満載です。

イザ!カエルキャラバン!で行われている防災プログラムは、阪神・淡路大震災の被災者に聞いた生の声がベースになっています。困ったこと、知ってて良かったこと、防災訓練に期待することなど。理事長の永田さんが、「防災はまちづくりと同じで、コミュニケーションとブランディングが大事」と言っていました。名前を聞いても防災イベントってわかりませんが、ここに来れば防災を学べる。それでいいんだ、と思いました。

驚くのは、人でいっぱいなこと。そして、遊び感覚で楽しみながらも真剣な子どもたちの顔。親なら、自分たちの命を守る防災知識を楽しく学ぶ場があれば、子どもと一緒に参加したいですよね。

防災を学ぶためには、楽しさや遊びゴコロ、ネーミングやデザインの面白さが必要だと感じました。そして、スタッフ自身がそのプロセスを楽しみながら、毎回工夫改善を繰り返していくこと。人が集まらなければ、そこから何も産まれないですから。

静岡で開催される日が来ることを期待しましょう。

防災プロデューサー永田宏和氏に聞いた『伝わる防災への道』

ハート防災Jです。防災の世界では知らない人はいない(らしい)永田宏和さんにお会いしてきました。

防災素人の私は知るはずもなく、お恥ずかしい限りですが(汗)。

永田さんは、「防災をもっと身近に、もっと楽しく。」家族や友達と楽しみながら防災知識が身に付くイベント「イザ!カエルキャラバン!」を運営するNPO法人プラス・アーツの理事長。

防災プロデューサーとして日本全国、最近は東南アジア・中南米と、世界を飛び回ってる凄い人なんです。詳しくはこちら

NPO法人プラス・アーツ http://www.plus-arts.net/

イザ!カエルキャラバン! http://kaeru-caravan.jp/

 

取材した1月28日は、「イザ!美かえる大キャラバン!2018」(神戸市のJICA関西にて開催)のイベント当日。

2005年に神戸で始まった防災イベント「イザ!カエルキャラバン!」は、今では日本各地で開催されるようになり、今年でもう13年目です。

そのきっかけ、道のりについて聞いてみました。

永田さんは敏腕プロデューサーというより、優しいお父さん、といった印象。

 

防災に活きている、ブランディング と まちづくり のノウハウ。 

「大学卒業後、ゼネコンに就職したんですが、まちづくりに興味があって、独立して店舗建築や立ち上げの仕事を個人で始めました。店づくりには、ネーミングやロゴ、看板、ホームページなど、店をどう伝えるか、ブランディングが大事。まちづくりでは、おじいちゃん、おばあちゃんに揉まれたことが大きくて、本音の部分でコミュニケーションできないと相手にしてもらえませんから(笑)。ブランディングとまちづくり、その2つを足したのが、プラス・アーツの防災です。」

やっと自分の番が来た!

「2005年に震災後10年の記念事業で声が掛かり、それがすべての始まりでした。1995年の震災当時は、ゼネコンで働き始めて2年目の時、実家も被災し、当時まちづくりにも関わっていたので、自分も現地入りして役に立ちたくて志願したのですが、叶わなかったんです。みんな神戸に駆り出されて、ノイローゼになる人もいて、でも自分は行けない。ボランティアで出向きましたが、たまに行くだけでは役に立たないんですよ。正直しんどかったです。だから、この話が来た時には、やっと自分の番が来た!という感じでした。東日本の時も同じような思いの人がいたのでよく言いました。10年目でも関われる色んな関わりかた、やり方、役割がある。忘れてかけている時こそできることがあると。

大きかった寄藤文平さんとの出会い。防災が伝わるように。

「2005年のイザ!カエルキャラバン!のために、170人近い被災者にインタビューしたんです。その後、そこで集まった防災の教訓や知恵、技を本にまとめようというとき、イラストどうしようという話になって。ブランディングの仕事をしてる時(今でもやってますが)に見たデザインの本で寄藤さんのイラストを見て、一度は一緒にしたいな~と考えていたのを思い出して、そこから猛アタックです。何度も断られましたが、最後は粘り勝ちでした(笑)。」

「彼のクリエイティブの力で大きく変わりました。防災が伝わるようになったんです。寄藤さんのデザインはグローバルだし、デザインだけでなく企画もされるので、アイデアがどんどん広がっていくんです。そのアートな発想と創造力は、防災を伝える上で欠かすことができません。コピーライターの岡本欣也さん、建築家の曽我部さんも同様です。防災という難しい課題を一緒に乗り越えてくれる仲間との出会い、それがプラス・アーツの活動を支えています。出会いというか、無理やりですけど(笑)」

神奈川大学曽我部研究室で取り組んだプロジェクト。 新聞紙を使ったシェルター「ワッフルドーム」の制作動画はこちら

「楽しみながら、しっかり学ぶ」 防災の専門でないことが良かった。

「2005年に声が掛からなければ、防災の仕事はやっていなかったと思います。防災もまちづくりのひとつなんです。イザ!カエルキャラバン!は、地域の防災訓練プログラムと、美術家の藤浩志さん(プラス・アーツ副理事)が考案したおもちゃ交換会「かえっこバザール」を組み合わせた防災イベントです。そのベースにあるのは、被災者から集めた声でした。防災というと、難しい、硬いイメージが先行するところを、いかに楽しみながらしっかり学ぶようにできるか。このしっかりが大事なんです。開催当時は、おちゃらけてるとか風当たりも相当きつかったんですよ(笑)。でも、自分には170人近い被災者の生の声があり、信念もあったので迷うことはありませんでした。。防災の専門でなかったことが、逆に良かったのだと思います。防災に対する既成概念がありませんでしたから。」

災害はいつもそこにある。より日常にするため

静岡は未被災地ですが、地震に対する防災意識は高く、ハード面も充実してるし、頭の中にはある。でもリアルじゃないし、行動に結びつかない。文化やアートの力で防災に光をあてようというのが、HEART防災の取組みなのですが、永田さんはどう思われますか?

「今、『災害イツモマインドセットPROJECT』をやっていて、起こしたいのはムーブメントなんです。それに近い話かなと思います。普段の生活の中では考えることのない防災を、より日常的にしていくという考え方。災害はいつもそこにある、という、マインドそのもののリセットができないか、と取り組んでいます。ららぽーとで実際にやっていますが、普通に買い物に行ったら、家具転倒防止やローリングストックのコーナーがあって、防災グッズがあり、ゲームにふれあい、自然と学べる環境が大事だと思います。」

詳しくはこちら http://saigai-itsumo.com

伝える側が、あの手この手を持っていないとダメ。静岡でBOU.LEAGUEとかやって欲しいな。

「仕事の依頼のほとんどは、企画から考えて欲しいというものです。以前、陸上の朝原さんと神戸市消防局と組んで企画監修したBOSAI五種競技という、スポーツの要素を取り込んだ5つの防災プログラムがあって、その企画が今、BOU.LEAGUE(防リーグ)という形で行われています。防災意識が高い静岡でやったら面白いし、もっと身近になると思いますよ。やっぱり、伝える側があの手この手を持っていないとダメですね。そういえば、静岡で脱出ゲームとかやってましたよね。凄くいいと思います。」

BOU.LEAGUE(防リーグ)はこちら https://bouspo.jp/

これからは担い手を増やすことが柱になっていく

「企画や監修の仕事もありますが、これからは防災プロジェクトの担い手を増やしていくことが中心になっていくと思います。全国に現在2万人の講師がいて、カエルキャラバンも伝授しています。教える側を育てる事が、防災をもっと身近に楽しく伝える事に繋がります。それは海外も同じ。アートな発想、創造力で、どこまで広げられるか、挑戦ですね。」

 

永田さんのお話は、難しい言葉は何ひとつなく、防災素人の私にもとても分かりやすかったです。プラス・アーツが扉を開けた「伝わる防災」が「いつもそこにある防災」へと繋がり、大人から子供まで防災知識が自然と広がることで、いざという時の備えが整う社会に変わっていく、そんな可能性を大いに感じるお話でした。

静岡の防災には、楽しくしっかり防災の、”楽しく”をもっとプラスしていく必要があるかもしれませんね。

防災学習室[しえ~る]に行ってきました! - 焼津市

こんにちは!HEART防災ライターのYです。

今日は、昨年3月にリニューアルオープンした、焼津市の防災学習室「しえ~る」に行ってきました。

「しえ~る」って不思議な名前ですよね。

伺ってみたところ、「しえ~る」とは、
学習室への来館を通じて「防災を理解できる!備えができる!」という願いをこめて、

「~をすることができる」という意味の焼津弁である『しえ~る』と名付けたそうです。

中にはいると、いきなり地震を体験できるコーナーが!

ドキドキしながら、体験開始!

まずは熊本地震から・・・

揺れがすごくて、写真が撮れませんでした!

ヒールを履いて体験したのですが、立っていられなく、
手すりを持ってはやくこの体験が終わることを祈りました・・・(笑)

ぜひ、この揺れは、体験してみなくてはわからないので、
しえ~るで体験されることをおすすめします!

熊本本震のほかにも、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や駿河湾沖地震(2009年8月)の揺れなども体験できます。

地震の体験のあとは、焼津市防災航空隊「ブルーシーガルズ」が撮影したドローンによる空撮映像を組み合わせ、上空からの市内遊覧をお楽しみいただける『焼津空中散歩』もおすすめです!

癒されたあとは、しっかりお勉強です。

広い学習テーブルがあり、
焼津市の防災地図が表示されてるテーブルを囲み、避難施設の配置など焼津市内の状況を確認できます。

わかりやすいイラストと説明でかかれています。

さらに、異常気象を3D映像で体感できる風水害体験コーナーもあります。

本当にこわかったです。

他にも、
シアタールームや、防災グッズの展示など、さまざまなコーナーがありました。

防災について楽しくまなぶことができます。

みなさん、ぜひ一度、しえーるへ!

所在地:防災学習室しえーる

静岡県焼津市石津728-2 消防防災センター1F
入館料:無料
休館日:年末年始