展覧会は本日最終日!

11月17日から19日間にわたって開催してきました
しずおかHEART防災 特別展 「リアス・アーク美術館 東日本大震災の記録と津波の災害史」静岡展&しずおか防災アート展 も、本日が最終日となりました。

お越しいただいた皆さんの反応は好評で、
「すばらしいね!」
「とにかく静岡のみんなに見てもらうべき展示だね」
「やはり忘れかけていたけれど、改めて考える機会になった。」
「早速帰って家族と話し合います。」
「震災時に生まれていなかった子どもに伝えることができた。」
「子どもと一緒に考える機会になった。」
「自分の住む場所のこと、知らなければならないと思った。」
などのご意見をいただいております。

県内も西~東の各地から、また神戸、東京、愛知などからもお客様が来てくださり、お友達を伴って何度もご来場くださる近隣のお客様もいらっしゃって、ありがたいです。

入場無料、本日17時まで、静岡市清水文化会館マリナート 1Fギャラリー(JR清水駅自由通路直結)で開催しています。

最後の最後です!
お越しをお待ちしております。

 

 

残り会期わずか・・・!

展覧会は12月8日(土)まで!あとわずかとなりました!

多くのお客さまにお越しいただいておりますが、一人でも多くの方にご覧いただきたい展示です。ぜひお時間をつくってご来場ください!

最終日、12月8日(土)13時~15時には、
アーティスト本原令子さんのワークショップ「BOSAI・トリアージ」も行われます。
まだ少し空き席がございますので、ぜひともご参加ください。
※事前にご準備いただくため、お手数ですが事前申込みをお願いします!

「BOSAI・トリアージ」ワークショップ
津波まであと30分と言われたら、なに、もってく?
日時: 12月8日(土)13:00~15:00(予定)
講師: 本原令子(アーティスト/本展出展作家)
定員:20名 ※事前申込。受付後に参加方法をご案内します。

WEBサイトのフォームから
①氏名 ②人数 ③郵便番号 ④住所 ⑤昼間ご連絡のつく電話番号 ⑥メールアドレス ⑦年令 ⑧性別 を記載して、お送りください。

 

また、クラウド・ファンディングも受付中です。
こちらは12月6日(木)までです!
どうぞよろしくお願いいたします!!

 

好評開催中です!

しずおかHEART防災 特別展、無事開幕しました!

初日の、リアス・アーク美術館の山内宏泰さんによるトークは
わたしたち静岡県民にも、多くの新たな気づきや視点を与えてくれるものでした。

「防災」ではなく「減災」・・「完全に防ぐ」ことなどできないこと、
自分の住む土地のことや、そこに息づいてきた文化(というのは文化財などモノではなく、人々の日々の暮らしの積み重ね!)を知ること、
データに頼りすぎずに想像力を持つこと、
そのために表現されたものにふれ、感じ、考えること、
そして、いざというとき自分ひとりで行動できるために・・体力(特に握力!?)をつけること! などなど。

もっと多くの方に聞いてほしかったです。

 

本日も、多くのお客様にご来場いただいております!

お越しくださったみなさま、ありがとうございます!

みなさん展示に見入っていらっしゃいますので、
ぜひ、お時間に余裕をもって、お越しください。

また、入場無料で、12月8日まで開催中ですので
お近くの方は、何度でもいらしてください。

ひとりでも多くの方にごらんいただきたい展示です。

ご来場、お待ちしております!!

 

 

 

いよいよ開催!

11月17日(土)から、
しずおかHEART防災 特別展
「リアス・アーク美術館 東日本大震災の記録と津波の災害史」静岡展& しずおか防災アート展
開催です!

初日は、リアス・アーク美術館の学芸員、
山内宏泰さんを迎えたトークがあります。

そのため、体験コーナーはお休みとなります。
申し訳ありませんが、ご了承ください。

詳細はこちらをごらんください。

みなさまのご来場を心からお待ちしております!

 

3.11を忘れない。ー静岡市清水区【防災フェスタinしみず2018】ー

「東北の震災復興と郷土静岡の防災意識の啓発」のために

【防災フェスタinしみず2018】

皆さんご存知でしたか?清水で毎年行われているこのイベント。

ハート防災Jです。2018年3月11日。東日本大震災から7年が経ちます。静岡もかなり揺れましたが、その後TVに流れてきた津波の映像は想像をはるかに超えるものでした。映像で見るものと、体感したもの、実際に目にしたものでは決定的に何かが違う、最近そう思います。経験しないものは風化が速い、自分事ではないからでしょうか。

【防災フェスタinしみず2018】は、震災をきっかけにSNS等を通じて集まった有志が、ボランティアで開催しているイベントです。運営費の一部と会場内での復興募金を寄付し、震災を忘れることなく地域防災の啓蒙を続けるために。今回が第7回目。継続するのは決して楽ではないと思います。
ちなみに、第1回は「しみず防災フェスタ」だったのを、2回目以降、広がりを想定して「防災フェスタinしみず」と改称したそうです。「in」のあとを変えて実施してゆくこともできるんですね、なるほど。

詳しくはHPへ http://www.bousai-festa.net/index.html

3月11日、イベント会場のJR清水駅みなと口広場に行ってきました。

災害救助犬のパフォーマンスに間に合いました。3つの箱から人を見つけて「ワン!ワン!ワン!」100発100中。NPO法人「災害救助犬静岡」という団体があり、2016年の熊本地震でも活躍したそうです。詳しくはこちら http://www4.tokai.or.jp/kyujokensizuoka/

消防隊のマスコットと子ども達の記念撮影。常に訓練を欠かさない消防士の方々のたくましい肉体に笑顔が乗ると無敵です。カッコいい。

震災では、最後まで避難誘導しながら命を落とされた消防隊員が多くいました。鎮魂の思いを込めて半鐘を鳴らしてきました。

会場内には多くのブースがあり、静岡で防災に関わる地域活動をされている団体等が出店しています。

番町市民活動センターからは、毎年1月に行われている防災イベント「番町防災の日」の紹介。

県内各地で各世代の交流の場をつくり、地域に助け合いの関係を築く活動をしている「静岡2.0」は、”被災する前に、できることをしていきたい”と、静岡の学生と社会人で始めた団体です。

会場から見える富士山も応援しています。

会場となりのマリナート(静岡市清水文化会館)では、なんとモモクロのコンサート。ファンが流れてきて、売上に貢献しています。関係者の気持ちが、モモクロに届いたのかもしれません。

時計が14時46分に近づいてきました。皆で輪になって黙とうする「1000人ハンドレクイエム」の時間です。

3月11日14時46分。この日この時間。日本各地で多くみられる光景でしょうが、震災から7年間静岡に住んできて、皆が手をつなぎ一斉に祈る場面に遭遇したのは初めてです。未被災地静岡という言葉を、ハート防災に関わり耳にする機会が増えました。当事者ではないから、当然当事者意識はない。それでも祈る人は祈る。3.11を忘れないことが、防災意識を高めることに繋がると信じたいです。

他にも様々なブースが出展していました。

防波堤の模型実験。波を見ると思わず反応してしまいます。波の形は、その時の自然環境によって大きく異なりますが、防潮堤の有無が被害の大小を左右することがよく分かりました。

国土交通省の方とお話しすることができました。被災地では、自衛隊や消防隊が目立ちますが、支援物資の輸送や照明車の出動など、国土交通省も色々な活動をしているのですね。

民間企業も参加しています。電気が消えて真っ暗な中でも誘導可能な「光る木の手すり」は、ホテルやビルなどに導入されているそうです。

いつでもどこでも生活可能なトレーラーハウス。日本ではまだ少数派ですが、海外ではよく目にします。これで日本一周したいですね。

昼の部は、催し物あり、色んな取り組みを知ることができるブースあり、体験コーナーありと、大人も子どもも楽しめる感じでした。15時30分には終了し、18時からは夜の部が始まります。好物の広島焼きを買って(収益金に少し貢献)家に帰り、一休みしてから再び清水駅へ。

19時過ぎに会場に着くと、既にキャンドルナイトが完成していました。

真ん中の図柄はリボン。結ぶ、つなぐ、清水と被災地も気持ちで繋がっていますよという意味でしょうか。アメリカでは、胸にリボンをつけている人=何かをサポートしている人というのが当たり前の様です。清水から被災地をサポートし続けますよ、というメッセージかもしれません。

3.11を忘れないという思いを込めて。

キャンドルの外側には、参加者のメッセージが書かれています。一人一人の被災者への気持ちが重なり、心のこもったひとつのアートの様でした。

HEART防災。心の中にアートの文字。気持ちを表現すること、それ自体がアートの始まりであり、防災への一歩かもしれません。

来年、再来年、この先もずっと【防災フェスタinしみず2018】が続くことを祈ります。3.11を忘れないように。

ウワサの「そなエリア東京」に行ってきました!

こんにちは。HEART防災、Sです。
先日ついに、うわさの「そなエリア東京」に行ってきました!!

「そなエリア東京」は、国の災害応急対策の拠点として整備された「東京臨海広域防災公園」内にある、防災体験学習施設です。

1階には、津波の高さや速さが体感できるコーナーや、防災グッズのショップがあります。

2階は、学習施設。さまざまな啓発展示がめじろおし!
いざというときに生き抜くヒント、防災グッズ、防災ゲーム…etc.

このイラストやデザインはたぶん、最近「防災のデザイン」に欠かせない存在となっている、寄藤文平さんですね。
同じ展示でもデザインや構成の工夫で「見る気にさせる」。
これもHEART防災が考えるべきポイントのひとつです。

アニメ「東京マグニチュード8.0」のアレンジ版も会場内のモニターで見ることができました。機会があれば、これ上映したいなぁ。

上からはオペレーションルームが覗けましたよ。
映画「シン・ゴジラ」のシーンが回想されます!

静岡県庁にも焼津の防災拠点にも、こういう設備がありますが、やはり規模が違いますね。

そして、何と言ってもこの施設のウリである、防災体験「東京直下72h TOUR」!
(以下、ネタバレ注意!)

予約時間に受け付けをし、タブレットを借りて首からぶら下げます。
体験人数に制限があり、時間を区切っての入場となるので、当然係員さんが案内してくれるんだろうと思いきや・・・ほぼ操作の説明のみで、いきなりひとりでエレベーターに乗せられました!
映画館のあるショッピングセンターのエレベーター内で地震に遭う想定です。

ドアが閉まって、ちょっと緊張!!

無事エレベーターのドアが開き、裏ルートを通って、非常口のサインを頼りに、まずは建物から脱出を試みます。
SCのバックヤードっぽい演出もされています。

脱出した先には、被災したまちが再現されていました。
細部までよくできていてリアルです。
昔よく行ったナンジャタウンとかラーメン博物館みたいな。

まちのモニターでは、ニュースが被災状況や余震の危険性を伝え、緊急地震速報のあのチャイム音が断続的に鳴っています。

あ、向こうで火事が・・・

まちの中では、いくつかのポイントに誘導され、そこで出されるクイズに、タブレット上で答えていきます。

ポイントは複数あるのに全部をまわるわけではないので、スタッフさんに聞いてみると、どのポイントでクイズが出るかは端末によって異なるそうです。
一緒に体験する友達とも違うし、次に行ったときにまた違う、という楽しみもありますね。

無事、避難所の中央公園にたどり着きますが、そこではしばしの避難生活が。

そこには様々な課題があります。
私たち未被災地の者は、生き延びることは考えるけれど、その先のことまではなかなか考えられません。
でも、本当に想像力が試されるのはきっと、被災後の暮らしにおいてなのでしょう。

タブレットを返却するときに、クイズの点数がわかります。
ここは防災先進県に暮らすS!当然、満点でしたー!

最後にショップで「東京防災」を1冊購入。これは本当にいい取組みですよね。
がんばろう、静岡の防災!

この公園は、首都圏で大きな災害が起きたときにベースキャンプになるそうで、ヘリポート機能もあります。広場の向かいには病院がありました。
ふだんは都民の憩いの場として開放されています。この日は雪が残っていましたが、キャッチボールなどをしている人たちもいました。

そなエリア東京」。
東京なので「首都直下地震」がテーマではありますが、この国に住む誰もが、いちどは行ったほうがいいトコロだと思います。
熱心に見ていたので研修の視察か何かだと思われたようで、スタッフさんに声をかけられました。全国から問い合わせや予約がいっぱいなので、ご予約はお早めに、とのこと。
少人数で行く場合は、ふらりと行っても、先に体験時間を予約しておけば問題なく入れそうです。
おススメ!!

 

防災を「楽しくしっかり学ぶ」 -イザ!美かえる大キャラバン!2018 in 神戸ー

ハート防災Jです。神戸取材の目玉「イザ!美かえる大キャラバン!2018」にやって来ました。イザ!カエルキャラバンは、震災後10年の記念事業として2005年に神戸でスタートし、今では全国各地で行われている防災イベント。

コンセプトは、防災をもっと身近に、もっと楽しく。家族や友達と楽しみながら防災知識が身につくのが人気の秘密です。

参加は無料、誰でも自由に参加できます。会場は神戸の新都心「HAT神戸」内のJICA関西、人と防災未来センター。近くには兵庫県立美術館も。

「イザ!カエルキャラバン!」は、地域の防災訓練と、美術家藤浩志さんが考案したおもちゃ交換会「かえっこバザール」を組み合わせた防災イベント。開催当初は、お茶らけてるなど風当たりも強かったそうですが、楽しみながらしっかりと防災を学ぶことができる機会として神戸に根付き、今年で13回目の開催となります。

運営するのは、NPO法人プラス・アーツ。「防災」「教育」「まちづくり」などの分野において、既成概念にとらわれないアート的な発想や想像力で、課題解決や活性化、新たな可能性を追求することを目的としています。理事長の永田さんが、2005年の第1回イザ!カエルキャラバン!を実施したことをきっかけに発足しました。

開催当日は雪が舞う寒い日でしたが、会場は家族連れを中心に子どもからお年寄りまでいっぱい。防災というと硬いイメージが先行しますが、「えっ!これが防災イベント?」という感じで、笑顔と熱気に包まれていました。

会場内の様子をレポートします。

どれにしようかな~。ポイントと交換できるおもちゃを探します。

おもちゃ交換の流れは、①遊ばなくなったおもちゃを持ってきてカエルポイントと交換。②防災プログラムに参加したり、お手伝いしてもポイントがもらえます。③そのポイントで会場内にあるおもちゃと交換します。

持ってきたおもちゃを、かえっこバンクでポイントに。なかなか、まあまあ、そこそこ、でポイントが変わります。ちょっとした表現にも遊びゴコロが。

会場のいたるところで、クイズ形式、ゲーム形式の防災プログラムが行われています。

毛布で担架タイムトライアル 子ども達真剣です。

ジャッキアップゲーム ナマズ(地震)で下敷きになったカエルさんを、どうやって助け出そうかな。

すごろく遊びでぼうさい学び 孫と一緒に防災知識を学ぶ、おじいちゃん、おばあちゃんも数多く見かけました。

その他にも、歌や紙芝居、ゲーム等、いろんな切り口で防災を学ぶコーナーがあります。

和歌山大学災害科学教育センターのトイレが大変プログラムコーナーでは、新聞紙、ペットシート、レジ袋を使ってmyトイレを作成。楽しみながらどんどん知識が膨らみます。

イベントの運営主体はプラス・アーツですが、学生やボランティア、団体、色んな方たちが参加し、各コーナーを構成。

神戸市中央消防署の人達もイベントを盛り上げます。

水消火器で的当てゲームの的もカエルさん。イザという時にこの経験が活きてきますね。

2005年のスタート当初からある定番コーナーから新コーナーまで、JICA関西の1F~3Fで、20を超えるプログラムが実施されています。BOSAIキッチンは、今回初登場の目玉企画。順番待ちで実際に作ることはできませんでしたが、中の様子を見させていただきました。

災害時の食料備蓄の為に、「非常食」と「いつもの食」のボーダーを消してみようという試みで、お鍋とポリ袋でBOSAIレシピづくりを行います。

材料となる、栄養満点、調理が簡単な非常食の紹介。

お皿の代わりに紙の容器を作り、耐熱性ポリ袋を使った調理で、

炊き込みご飯、かぼちゃの豆乳スープ、ユニバーサルチョコの完成。ポリ袋恐るべし。

スタンプラリーも開催していて、各コーナーを回ってスタンプを集めるとガラガラ抽選に挑戦できます。魅力的な景品が揃っていました。とにかく、色んな工夫で防災を楽しく学ぶ仕掛けが満載です。

イザ!カエルキャラバン!で行われている防災プログラムは、阪神・淡路大震災の被災者に聞いた生の声がベースになっています。困ったこと、知ってて良かったこと、防災訓練に期待することなど。理事長の永田さんが、「防災はまちづくりと同じで、コミュニケーションとブランディングが大事」と言っていました。名前を聞いても防災イベントってわかりませんが、ここに来れば防災を学べる。それでいいんだ、と思いました。

驚くのは、人でいっぱいなこと。そして、遊び感覚で楽しみながらも真剣な子どもたちの顔。親なら、自分たちの命を守る防災知識を楽しく学ぶ場があれば、子どもと一緒に参加したいですよね。

防災を学ぶためには、楽しさや遊びゴコロ、ネーミングやデザインの面白さが必要だと感じました。そして、スタッフ自身がそのプロセスを楽しみながら、毎回工夫改善を繰り返していくこと。人が集まらなければ、そこから何も産まれないですから。

静岡で開催される日が来ることを期待しましょう。

防災プロデューサー永田宏和氏に聞いた『伝わる防災への道』

ハート防災Jです。防災の世界では知らない人はいない(らしい)永田宏和さんにお会いしてきました。

防災素人の私は知るはずもなく、お恥ずかしい限りですが(汗)。

永田さんは、「防災をもっと身近に、もっと楽しく。」家族や友達と楽しみながら防災知識が身に付くイベント「イザ!カエルキャラバン!」を運営するNPO法人プラス・アーツの理事長。

防災プロデューサーとして日本全国、最近は東南アジア・中南米と、世界を飛び回ってる凄い人なんです。詳しくはこちら

NPO法人プラス・アーツ http://www.plus-arts.net/

イザ!カエルキャラバン! http://kaeru-caravan.jp/

 

取材した1月28日は、「イザ!美かえる大キャラバン!2018」(神戸市のJICA関西にて開催)のイベント当日。

2005年に神戸で始まった防災イベント「イザ!カエルキャラバン!」は、今では日本各地で開催されるようになり、今年でもう13年目です。

そのきっかけ、道のりについて聞いてみました。

永田さんは敏腕プロデューサーというより、優しいお父さん、といった印象。

 

防災に活きている、ブランディング と まちづくり のノウハウ。 

「大学卒業後、ゼネコンに就職したんですが、まちづくりに興味があって、独立して店舗建築や立ち上げの仕事を個人で始めました。店づくりには、ネーミングやロゴ、看板、ホームページなど、店をどう伝えるか、ブランディングが大事。まちづくりでは、おじいちゃん、おばあちゃんに揉まれたことが大きくて、本音の部分でコミュニケーションできないと相手にしてもらえませんから(笑)。ブランディングとまちづくり、その2つを足したのが、プラス・アーツの防災です。」

やっと自分の番が来た!

「2005年に震災後10年の記念事業で声が掛かり、それがすべての始まりでした。1995年の震災当時は、ゼネコンで働き始めて2年目の時、実家も被災し、当時まちづくりにも関わっていたので、自分も現地入りして役に立ちたくて志願したのですが、叶わなかったんです。みんな神戸に駆り出されて、ノイローゼになる人もいて、でも自分は行けない。ボランティアで出向きましたが、たまに行くだけでは役に立たないんですよ。正直しんどかったです。だから、この話が来た時には、やっと自分の番が来た!という感じでした。東日本の時も同じような思いの人がいたのでよく言いました。10年目でも関われる色んな関わりかた、やり方、役割がある。忘れてかけている時こそできることがあると。

大きかった寄藤文平さんとの出会い。防災が伝わるように。

「2005年のイザ!カエルキャラバン!のために、170人近い被災者にインタビューしたんです。その後、そこで集まった防災の教訓や知恵、技を本にまとめようというとき、イラストどうしようという話になって。ブランディングの仕事をしてる時(今でもやってますが)に見たデザインの本で寄藤さんのイラストを見て、一度は一緒にしたいな~と考えていたのを思い出して、そこから猛アタックです。何度も断られましたが、最後は粘り勝ちでした(笑)。」

「彼のクリエイティブの力で大きく変わりました。防災が伝わるようになったんです。寄藤さんのデザインはグローバルだし、デザインだけでなく企画もされるので、アイデアがどんどん広がっていくんです。そのアートな発想と創造力は、防災を伝える上で欠かすことができません。コピーライターの岡本欣也さん、建築家の曽我部さんも同様です。防災という難しい課題を一緒に乗り越えてくれる仲間との出会い、それがプラス・アーツの活動を支えています。出会いというか、無理やりですけど(笑)」

神奈川大学曽我部研究室で取り組んだプロジェクト。 新聞紙を使ったシェルター「ワッフルドーム」の制作動画はこちら

「楽しみながら、しっかり学ぶ」 防災の専門でないことが良かった。

「2005年に声が掛からなければ、防災の仕事はやっていなかったと思います。防災もまちづくりのひとつなんです。イザ!カエルキャラバン!は、地域の防災訓練プログラムと、美術家の藤浩志さん(プラス・アーツ副理事)が考案したおもちゃ交換会「かえっこバザール」を組み合わせた防災イベントです。そのベースにあるのは、被災者から集めた声でした。防災というと、難しい、硬いイメージが先行するところを、いかに楽しみながらしっかり学ぶようにできるか。このしっかりが大事なんです。開催当時は、おちゃらけてるとか風当たりも相当きつかったんですよ(笑)。でも、自分には170人近い被災者の生の声があり、信念もあったので迷うことはありませんでした。。防災の専門でなかったことが、逆に良かったのだと思います。防災に対する既成概念がありませんでしたから。」

災害はいつもそこにある。より日常にするため

静岡は未被災地ですが、地震に対する防災意識は高く、ハード面も充実してるし、頭の中にはある。でもリアルじゃないし、行動に結びつかない。文化やアートの力で防災に光をあてようというのが、HEART防災の取組みなのですが、永田さんはどう思われますか?

「今、『災害イツモマインドセットPROJECT』をやっていて、起こしたいのはムーブメントなんです。それに近い話かなと思います。普段の生活の中では考えることのない防災を、より日常的にしていくという考え方。災害はいつもそこにある、という、マインドそのもののリセットができないか、と取り組んでいます。ららぽーとで実際にやっていますが、普通に買い物に行ったら、家具転倒防止やローリングストックのコーナーがあって、防災グッズがあり、ゲームにふれあい、自然と学べる環境が大事だと思います。」

詳しくはこちら http://saigai-itsumo.com

伝える側が、あの手この手を持っていないとダメ。静岡でBOU.LEAGUEとかやって欲しいな。

「仕事の依頼のほとんどは、企画から考えて欲しいというものです。以前、陸上の朝原さんと神戸市消防局と組んで企画監修したBOSAI五種競技という、スポーツの要素を取り込んだ5つの防災プログラムがあって、その企画が今、BOU.LEAGUE(防リーグ)という形で行われています。防災意識が高い静岡でやったら面白いし、もっと身近になると思いますよ。やっぱり、伝える側があの手この手を持っていないとダメですね。そういえば、静岡で脱出ゲームとかやってましたよね。凄くいいと思います。」

BOU.LEAGUE(防リーグ)はこちら https://bouspo.jp/

これからは担い手を増やすことが柱になっていく

「企画や監修の仕事もありますが、これからは防災プロジェクトの担い手を増やしていくことが中心になっていくと思います。全国に現在2万人の講師がいて、カエルキャラバンも伝授しています。教える側を育てる事が、防災をもっと身近に楽しく伝える事に繋がります。それは海外も同じ。アートな発想、創造力で、どこまで広げられるか、挑戦ですね。」

 

永田さんのお話は、難しい言葉は何ひとつなく、防災素人の私にもとても分かりやすかったです。プラス・アーツが扉を開けた「伝わる防災」が「いつもそこにある防災」へと繋がり、大人から子供まで防災知識が自然と広がることで、いざという時の備えが整う社会に変わっていく、そんな可能性を大いに感じるお話でした。

静岡の防災には、楽しくしっかり防災の、”楽しく”をもっとプラスしていく必要があるかもしれませんね。